明智中五郎制作日誌。8月18日にDVD BOXが発売されて広く大勢の方に見ていただけるようになるので、もう少しこのネタをひっぱらせていただきます!
撮影が始まってから気をつけたのは、見ている人との信頼関係です。アホな事を全力以上でやるんだけど、やりたい性分なんだけど、やってしまうんだけど、どこかで分かっている部分もあるという常識的な部分を作りました。ただのアホではなくて分かった上でのアホ、結果アホ。4話の学校の体育館でも、天井に大きな影が見えて、そして天井から何かが降ってくる、それを落としたヤツを推理しているときに中五郎は「プテラノドンだ、プテラノドンが口にくわえたモノを僕に向かって落としたんだ!」と言うところがありますが、これを本気で言っていると、中五郎の発言に対する信頼がなくなるので、その後、小林少女が「そんなわけないですよね」と言うのですが、その後に中五郎の「だよね・・」というセリフを足しました。思いつきで本気で言っている部分と分かっている部分、その上で間抜けという。自分の性格と実力の中で、アホをやって楽しむしかないという生き方。本気でアホだと全体の説得力が薄れますが、分かっていてアホの方が面白いし、ある種の切なさも出るので。でも本当に分かっていると冷静になってしまうので、7:3くらいのバランスで3割くらい分かっている感じで。
8話でも象徴的で好きなセリフがあるんですが、20面相が予告した時間に探偵事務所に現れる、どう迎え撃って捕まえるか、という場面で中五郎は「秘密兵器を作ってあります!」と言い、ねずみ取りを出して玄関に仕掛けるのですが、そこで小林少女に「本気でこれで捕まえられると思ってるんですか?」と聞かれます。本番ぎりぎりまで考えて、そこに「半分、本気です!」というセリフを入れました。これは中五郎を象徴しているというか、分かってるけど、半分本気、捕まるわけないと思ってるけど、もしかしたら!、みたいなバランスを上手く出せたかなと思いました。それを実行してしまうバカらしさ。楽しんでいる姿。まあ、本当は3割くらいしか分かってないんですが、半分は分かっているんだという見栄も張っています。プロデューサーを始め、スタッフ、脚本家の発想や方向性、柔軟性が素晴らしく、その基礎の上でみっちりと作り込めました。今回は俳優としてだけではなく、脚色・ギャグ構成スタッフとしても参加させて頂いたので、時間の許される限り、すべてのセリフ、すべてのカットをこういう感じでスタッフと考えに考えて立体的に作ってきたので、まだまだ語りたいことはいっぱいありますが、DVD BOXでいろいろ楽しんでもらえると嬉しいです。